お客様より修理依頼がありました。
パソコンの電源を入れてもなんの変化も起きないとのこと。(普通、電源やCPUのファンが回る音やBIOSの起動するピッツというビープ音などがする。)
さっそく本体をご持参いただき動作チェックをしました。確かに電源を入れてもなんの変化もありません。お客様によると昨日までは普通に使っていたのに、今朝、電源を入れるとうんともすんとも言わないダンマリ状態になったそうです。
パソコンの使用目的は、WindowsXPでしか動作しない某ソフトを、たまに利用するレベルで、そのソフトの使用頻度は、どんどん減っていて、そのうちまったく使わなくなるとのことでした。
一日預かって様子を見ることにしました。
もちろん、最初に疑うのは電源です。さっそく、電源チェッカーでテストしてみました。オールPASSです。
念の為に私の電源で起動するか確認しました。すると?あれっ?起動するやん。
普通にCPUファンが回り出しビープ音がしWindowsが起動しました。すぐに、元の電源に切り換えて起動しするか確認しました。もちろん、普通に起動しました。
う〜。なん?
もしかして…電源を落とし数時間放置後、再度電源を入れると、あれっ、やっぱり起動しません。
はぁはぁ〜???そうね。
ヘアードライヤーの温風をマザーボードの電源とCPU周りのコンデンサに軽くそよ風程度に吹きかけてみました。約1分程度です。約30cmくらい離して温風を吹きかけます。急に温めると結露ができ電源を入れるとショートする危険性があることと、あまり加熱すると半田が溶けたり、ICチップが壊れる可能性があるからです。
予測通り、電源が入り、普通に起動しました。一度起動すると、短時間のシャットダウンなら次も問題なく起動します。
マザーボード上のコンデンサに異常があるのは間違いないようです。試しに、マザーボードの製品名でグーグル先生にお尋ねしてみました。MSIのP45 Neo-Fです。
おー、ある、ある。「P45 Neo-F コンデンサ」というキーワードでたくさんヒットしました。
マザーボードを目視で確認してもコンデンサの膨張や液ダレ・破裂は確認できません。一見、ごく普通のコンデンサたちに見えます。良い子のようにきちんと基板上に並んでいます。
おそらくこれを修理するとなると、CPU周りのコンデンサは全部、それからネットでも取り上げられているさまざまな箇所のコンデンサも念の為に交換する必要がありそうです。(コンデンサ交換は、保証対象外です。コンデンサ以外の部分つまりICチップなどが不良の場合は問題は解消されません。したがって、修理にはかなりのリスクがあります。私自身の個人使用なら速攻でコンデンサ交換です。)
(今回は、約1分で、CPUの状態が急変しています。OCCTの負荷テストなのでCPUにある程度の変化が起きるのは予測できますが、1分ちょっとでこうなるとは。おそらくCPU周りに障害が発生しているような気がします。)
それなら、マザーボードを交換したほうがよさそうです。しかし、新品はありません。わざわざ中古を購入するほどのものでもないような気もします。
お客様に電話で確認しました。私は、修理するほどこのパソコンに投資する必要がないのであれば、事務所(お客様のパソコンは事務所に設置)の暖房を入れてからしばらく待って起動させるか、ケースを開けて、軽くドライヤーで温めてから起動させてみることをアドバイスしました。
修理するなら中古のマザーボードを仕入れ、さらに組み直しをしなければなりません。また、XPなので、インターネットに接続してドライバー類(チップセットなど)をダウンロードするにはリスクがあります。したがって、別途手動ですべてダウンロードすることを考えると、技術料だけで2万円は超えそうであることやマザーボード本体の価格は別途必要であることも伝えました。
お客様は、今、起動するうちにデータをバックアップして、しばらくはこのまままで使ってみる方を選択されました。(賢い選択です。)メインのPCはWindwos 7があるので業務には影響がないとのことです。
今回は、修理ではなく、状態の分析とその説明と本機との付き合い方をアドバイスして終わりました。(簡易清掃とコイン電池CR2032の交換も含む)→5,000円(税込み、診断費込み)なり。