お客様のパソコンは、10分くらいすると、マウスポインタがフラフラと勝手に動いて、制御できなくなります。回避策として、USBマウスを利用していましたが、それもマウスポインタの動きが定まらず、どうにもこうにもならい状態になっていました。

さらに、数年前に、中国に行ったときにインストールしたツール「360软件管家」が削除できなくて困っていました。

したがって、システムの初期化を依頼されました。

マウスポインタの動作異常には、ソフト的原因とハード的原因を切り分けなければなりません。ソフト的とは、ドライバー類(dllファイルなど)のファイル群が適切に動作していない等が挙げられます。ハード的とはタッチパッド本体の電子部品やそれらを制御しているICチップ等の異常等が挙げられます。

原因がソフト的なものであれば、システムを初期化し、ドライバー類を最新のものにアップデートできれば解決するはずです。しかし、ハード的な場合は、部品類を交換する必要があります。つまり、マザーボードも含め、タッチパッド関連のモジュールを交換しなければなりません。基本的には、メーカー修理となります。

では、原因を切り分けます。

ソフト的な原因を探ってみます。一番簡単な方法は、別のOSで起動して、動作確認することです。バックアップを取る必要があったので、SystemrescueCDからブートし、システムのイメージを取得しました。

10数分後、マウスポインタの動作が不安定になり、勝手にウィンドウが切り替わります。つまり、デスクトップ画面が4つあるので、切り替わるたびに、操作ができなくなります。

もし、ソフト的な問題があれば、Linuxのドライバーがおかしいということになります。WindowsドライバーもLinuxドライバーも両方共に異常があるなんてことはまず考えられません。あきらかに、ハード的なトラブルだと思われます。

さて、ハード的なトラブであることがわかったので、メーカ修理を検討しなければなりませんが。もうひとつ試してみることがありました。

タッチパッドの構造は、指の微弱な静電気をセンサー(コンデンサの静電容量の変化を検知する機器)で読み取り、指の動きを検知しています。もし、タッチパッドの表面に常時静電気が発生して(蓄えられて)いればセンサーが誤検知し、勝手にマウスポインタが動くはめになるはずです。(予想)

試しに、水で濡らしたタオルを固くしぼり、タッチパッドの表面をていねいに拭いてみました。さらに、タッチパッドの有効/無効ボタン(付いていない機種も多数ある)が付いていたので、それを数回押して動作を確認してみました。数回押したのは、タッチパッドに流れる電流を切る目的があります。(不正な電流が流れる、溜まっていると動作が不安定になる可能性がある。)

そして、様子を見ます。パソコンの電源を入れったまま一晩放置してみました。翌朝、タッチパッドの動作を確認してみると、いたって普通・異状無しです。さらに、数時間、作業を続けてみました。異常はありませんでした。つまり、「勝手にフラフラ」問題は解決しました。

お客様には、今回の原因(静電気が溜まっていたこと)と思われることを簡単に説明し、あわせて、タッチパッドの有効/無効ボタンの場所をお伝えして、動作が不安定になった時には、タッチパッドを固く絞った濡れ雑巾で拭いたり、有効/無効ボタンを数回押してみるなど回避策をアドバイスしました。