InkscapeのTex Textで、関数のグラフを描きたいので、ここを参考に、emath.styなるマクロをインストールして、使ってみました。
【前提条件】
- OSは、Ubuntu16.04。
- InkscapeにTex Textをインストールして使える状態。
- preamble.styでパッケージを読み込む。
<手順>
- emath.styの入手。
- emath.styの配置。
- emath.styに必要なファイルの配置。
- 動作確認。
1.emath.styの入手。
ここから、emathf051107c.zip をダウンロードします。(ユーザ名とパスワードは、http://emath.la.coocan.jp/の入り口のところに記載されています。)
2.emath.styの配置。
emathf051107c.zipを展開し、中のsty.zipも展開します。そして、この中に入っているすべてのstyファイルをディレクトリemathにコピーします。
ディレクトリemathは適切な場所に、事前に作成しておきます。
(1) 適切な場所・パスを探す
今回は、展開したstyファイルを配置する場所として、適切な場所を探します。すでにさまざまなstyファイルが配置されているはずなので、その場所を探します。例として、amsmath.styを使います。すでに配置されているstyであれば何でもOKです。
ターミナルを開いて、
$ sudo find / -name “amsmath.sty” -type f
/usr/share/texlive/texmf-dist/tex/latex/amsmath/amsmath.sty
『/usr/share/texlive/texmf-dist/tex/latex/』内に配置されているようです。
(2) ディレクトリemathを作成
$ sudo mkdir /usr/share/texlive/texmf-dist/tex/latex/emath
(3) emath.styの配置
sty.zipで展開したすべてのstyファイルをディレクトリemathにコピーする。
$cd ~/ダウンロード/emathf051107c/sty
~/ダウンロード/emathf051107c/sty$ sudo cp *.* /usr/share/texlive/texmf-dist/tex/latex/emath/
Inkscapeのtex textにemathを読みこませるには、preamble.styに追記します。(ちなみに、preamble.styはホームディレクトリ>.config>inkscape>extentions内に配置します。)
私のpreamble.styの内容です。描画担当のemathPを指定しています。
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}
\usepackage{amsfonts}
\usepackage{color}
\usepackage{emathP}
3.emath.styに必要なファイルの配置。
試しに、下記のtexを実行しました。Inkscapeを起動し、エクステンション>tex text の順にクリックします。そして、下記のtexを貼り付け実行すると、not foundエラーが発生しました。
\unitlength2mm
\begin{zahyou}(-5,5)(-1,18)
\zahyouMemori[g][n]
\def\Fx{2,8}
\def\Gx{1,0,0}
\Gurafu\Fx{-5}{5}
\Gurafu\Gx{-5}{5}
\GKouten\Fx\Gx\xi\xii
\Kansuuti\Gx\xi\yi
\Kansuuti\Gx\xii\yii
\Nurii*[60]\Fx\Gx{-2}{4}
\end{zahyou}
メッセージによると、『eclarith.sty』が見つからないようです。
そこで、ここから入って(ユーザ名とパスワードは下を参照)、eclarith.zipをダウンロードし、展開後でてきた、eclarith.styを先ほどの2.(2)で作成したディレクトリemathにコピーします。
(ユーザ名とパスワードは、http://emath.la.coocan.jp/の入り口に記載されていました。)
これで、エラーもなく、きちんとグラフが表示されました。
4.動作確認。
次のtexを実行してみました。
\unitlength2mm
\begin{zahyou}(-5,5)(-1,18)
\zahyouMemori[g][n]
\def\Fx{2,8}
\def\Gx{1,0,0}
\Gurafu\Fx{-4.5}{4.5}
\Gurafu\Gx{-4.2}{4.2}
\GKouten\Fx\Gx\xi\xii
\Kansuuti\Gx\xi\yi
\Kansuuti\Gx\xii\yii
\end{zahyou}
図2に示したように、きちんと表示されました。なんと言っても、一次関数と二次関数の交点の座標は実際に計算する必要がなく、xiやxiiなど変数指定でかまいません。ちゃんと交点は表示されました。目盛り付きで表示し確認すると、正確に交点のところでグラフは交わっていました。とても便利です。
ちなみに、一次関数が$y=2x+8$ 二次関数が$y=x^2$です。texでは、Fxが一次関数の係数のみを引数に指定し、Gxが二次関数の係数のみを引数に指定いるようです。二次関数の一般式は、$y=ax^2+bx+c$なのでa=1としてbとcを0にしています。したがって、Gx{1,0,0}となるようです。
詳しい使い方は、ダウンロードしたemathf051107c.zipのなかにpdfで納められています。readme.txtは文字エンコーディングがJISのため文字化けして読めませんが、あまり関係ないようです。サイトの解説と同梱されているpdfを読めば最低限のことはできそうです。(グラフを描く)